「心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書」を読んだ感想の続きを書いていきます。
今回は後編です。
前編、中編の記事はこちらです。
それではサクッと本題へ。
本の内容
まずはAmazonから本の内容を抜粋します。
Twitterフォロワー109万人のカリスマTestosteroneと現役精神科医が教えるメンタルの危機管理!
「永遠に生きると思って食事を管理しろ」「睡眠時間を死ぬ気で確保しろ」「悪いことは言わないからとりあえず運動しろ」「うつは甘えではなく脳の誤作動」「不安とどう付き合いながら生きるか」―etc
メンタルにポジティブな影響を与える生活習慣と精神医学の知識をふんだんなエビデンスを交えつつ、誰よりも面白く、熱く伝えます。 生きづらさや悩みを抱えている人たちに心の不調とうまく付き合い、ハッピーな人生の基盤を築くコツを伝授。うつ、発達障害、摂食障害、各種依存症(+グレーゾーンにある人たち)など漫画によるケーススタディも挿入しました。超ストレス社会を生きるあなたのためのバイブルです。
こんな感じの本です。
本書は2部構成になっており、読書感想としては第1部のみから引用します。
※前編:第1章、中編:第2章、後編:第3章
- 第1部 予防 is KING 心と体を守る最強の生活習慣
- 第1章 永遠に生きると思って食事を管理しろ
- 第2章 メンタルがブレやすい人は睡眠時間を死ぬ気で確保しろ
- 第3章 運動はハッピーな人生の基盤になる
- 第2部 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書
いくつか引用と感想
今回の記事では「第1部 第3章 運動はハッピーな人生の基盤になる」から、いくつか引用してみます。
また本書は会話形式になっており、登場人物は以下の通りです(敬称略)。
- Testosterone:https://twitter.com/badassceo
- 岡:精神科医
- 久保:博士(スポーツ科学)
すごくざっくりですが、この方々の会話形式で進みます。
運動とメンタルヘルスの密接な関係
――運動とメンタルにはどのような関連があると言われているのでしょうか?
【久保】運動とメンタルの関係については、アメリカで100万人規模の研究が実施されています。2011年から15年にかけて行われたこの調査では、運動を行っていない人より、行っている人たちの方が、精神状態が良い日の割合が40%多かったようです。
――運動習慣のある人の方が、気分良く過ごしている割合が多いということですね! どのような実験だったのでしょうか?
【久保】対象者にアンケートを行い、1ヵ月間のうち、「精神的に健康に過ごした日数」を比較しています。本研究では医師の診断で精神状態を判断しているわけではなく、自己評価で自分の精神状態を報告してもらっているので、その部分は割り引いて考える必要があるかもしれません。
――「運動」というのはどんなものを指しているのですか?
【久保】はい、この研究が面白いのは、対象者が行っているスポーツやエクササイズの種類ごとに、精神衛生向上への貢献度を調べていることです。特に①チームスポーツ②サイクリング③ジムアクティビティ④ランニング/ジョギング、を行っている人の精神状態が良くなっています。
本書では運動とメンタルの関係(運動の種類別)が図として載っています。
ネット上にも近しい図があると良かったのですが、探しても見つけることができず…割愛します。
自分が普段からやっている運動の種類を探したところ、図の中にウォーキングがありました。
メンタルヘルスの負担の軽減度はチームスポーツと比べると劣るものの、ウォーキングでも軽減を期待できそうでした(チームスポーツ:約23%、ウォーキング:約16%)。
なのでウォーキングの習慣は続けないとなと思いました。
仕事が忙しいと、運動する時間をなかなか捻出できなかったりします。
具体的には「仕事が忙しい → 運動する時間がない → 運動できない → メンタルがブレやすくなる」という流れになりそうです。
そもそも「仕事が忙しい → メンタルがブレやすくなる」という、もっとシンプルな流れなのかもしれません。
ですが忙しい中でもなんとか運動する時間を捻出できれば、多少なりメンタルが安定することもあるのかなと。
不安な人ほど運動をするべき理由
――運動そのものの効果についてもう少し詳しく教えてもらえますか?
【久保】運動とうつ病の薬の効果を比較した研究があります。ある研究では、週3回、30分間、全力の70-85%の強度でウォーキングかジョギングを行った場合、薬と同じぐらいうつに対する効果があったそうです。"薬と同じぐらい”という表現が曖昧で少し誇張気味な印象も受けるのですが、この研究においては、有酸素運動はうつ病に対して効果があるという結果が得られたんだな~ぐらいの認識でいると良いと思います。追跡調査では、毎週50分運動すると、うつになる確率が50%低下したとも報告されています。
――ウォーキングやジョギングを趣味にしている人は多いですが、身体の健康面だけでなく心の健康にもいい影響があるのですね。他にはいかがでしょうか?
うつ病になってしまうのは避けたいところですし、自分は不安になりやすいタイプなので予防的な意味でも運動習慣は積極的に取り入れたいところです。
うつ病になるパターンは様々だとは思いますが、運動する時間を捻出できないくらい過重労働になっているケースが多いかなと思います。
仕事に追われ、ほとんど運動できず、メンタルが少しずつ消耗していき、最終的にうつ病になる…みたいなパターンは多いのかなと。
今回引用した研究データからすると、運動習慣がうつになる確率を下げるとのこと。
なのでその逆をやっているとメンタルがブレやすくなり、そこから抜け出せずに悪化し続けると、最悪のケースとしてうつ病になってしまうのかなと思いました。
ちなみに今回は序盤のみを引用しました。
「他にはいかがでしょうか?」に続く形で、本書では他の研究データも紹介しています。
詳しく知りたい人は本書を読んで頂ければと思います。
心に効くのは有酸素運動か、筋トレか
――ちなみに、有酸素運動と筋トレではどちらが効果的だと考えられるのでしょうか?
【久保】Singhら(1992)によると、有酸素運動であるスイミングと筋トレを比較した場合、どちらを行ったグループも何もしない群よりも落ち込み度の低減が観察されています。また、スイミングと筋トレを両方行った群はより大きな低減が観察されたそうです。
――なるほど、どちらも落ち込みに対してポジティブな影響があり、なおかつ両方やることによる相乗効果もあったのですね。
【久保】現実的には筋トレもやって、スイミングもやって、というのはなかなか大変なので、結局はその人にあった方法を探すのがいいと思います。それにどんな場合でも「運動しろ、運動しろ」というのはぼくとしてはちょっと違うのかなと思います。
――え?そうなんですか?
【久保】こんな研究もあります。ひざの関節炎を持つ439名を対象としたPennixら(2002)の報告では、他の研究とは異なり、筋トレではなく有酸素運動を行った群でのみ落ち込み度の低減が観察されたそうです。
――確かにひざが痛い人は、筋トレはしにくそうですが・・・。
【久保】こういった研究はとても貴重で、対象者が置かれた状況や体調などによって最適な対処法は変わってくるということがよくわかるのではないでしょうか。関節に不調があって筋トレをストレスフリーに行える状況でない人でも、有酸素運動をすれば改善する可能性がある、という意味でもとても重要な示唆だと思います。それに、筋トレと有酸素運動では落ち込み度の低減はさほど違いがないという研究もありますね。
「有酸素運動と筋トレのどっちが良いかは一概に言えない」「状況や体調などによって最適な対処法は変わってくる」
なんとも曖昧な結論ですが、個人的にはこの結論で全然良いと思っています。
有酸素運動と筋トレのどっちが良いかなんて、明確な結論は出せない気がします。
また、ひざの関節炎を持つ人を対象とした研究の内容にも納得感があります。
ちなみに自分の生活習慣には筋トレ(自宅)が合っていそうです。
ただ、筋トレのみというわけではありません。
筋トレを主体としつつ、有酸素運動(散歩)も定期的に行っています。
無理のない範囲でストレスフリーに行える状況で、継続しやすいことが望ましいのかなと。
ちなみに以前の記事で、ダイエット関連の「有酸素運動 or 筋トレ」に関して引用していました。
せっかくなので、リンクしておきます。
こちらの引用でも、「有酸素運動が良い」「筋トレが良い」といった明確な結論ではなく「どちらも大事」という感じで書かれています。
おわりに
ということで「心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書(後編)」として書いてみました。
今回の記事で引用したのは
の3つでした。
前編は「メンタルと食事」、中編は「メンタルと睡眠」、後編は「メンタルと運動」という構成で記事を書いてみました(本書の第1章、第2章、第3章の構成に沿っただけですが)。
他の要素ももちろんあるでしょうが、「食事」「睡眠」「運動」の3要素がメンタルに与える影響はかなり大きそうです。
今後メンタルが下がり気味になったら、まずこの3要素を見直してみると良さそうだなと思いました。
「心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書」は3記事に渡って書きました。
他の記事も良ければぜひ。
- 【感想】『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』[前編]
- 【感想】『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』[中編]
- 【感想】『心を壊さない生き方 超ストレス社会を生き抜くメンタルの教科書』[後編] ← 今回の記事
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