「ビジネス教養 認知バイアス」こちらの本、読みました。
「サクッとわかるビジネス教養」シリーズというものがあり、その中での認知バイアス編が本書のようです。
同じシリーズの「マネジメント」「行動経済学」が良かったので、3冊目として「認知バイアス」をチョイスしてみました。
なお、本書の読書感想は「前編」「中編」「後編」の3つに分けて投稿しようと思います。
今回は前編として、アレコレ書いていきます。
本の内容
まずはAmazonから本の内容を抜粋します。
◎認知バイアスの存在を知って、自分・他人・社会を知る
「バイアス」とは、人間が生きている限り切り離すことはできないもので、
物事を現実とは異なる自分なりのかたちで認識してしまう現象です。
それはどうして起こるのか、避けることはできるのか、そもそもバイアスとは悪いものなのか?
自分の見ている現実は、正しいのか?ほかの人は自分をどう認識しているのか?急激に意識され始めた分野でありながら、誰もがまだはっきりとは分かっていない「認知バイアス」について、
ビジネスシーンをはじめ日常生活で直面するさまざまなケースを例に挙げ、
親しみやすいイラスト図解でサクッと解説しました。
こんな感じの本です。
同シリーズの「行動経済学」を読んだ時に出てきたワードが本書でも出てきたりして、ジャンル的に近いものを感じました。
そう感じつつも、紹介されている事例は異なっていますし、その事例に自分も大いに心当たりがありました。
「行動経済学」も「認知バイアス」も、両方とも読んで損はないかなと思います。
いくつか引用と感想
なぜバイアスはあるのか
バイアスがないと生き残るのは難しい
「バイアスが働いている」というと、何かいびつな偏見や思い込みに囚われて、物事をまちがって捉えてしまう、正しく捉えられないというイメージがあります。けれども、バイアス自体は、よくも悪くもありません。
たしかに、よくない状況を生み出すこともあります。しかし、進化心理学の観点からいうと、本来バイアスは、それをもっているほうが生き残りに有利であるか、少なくとも不利にはならないために存在していると考えられるのです。誰しもが同じくらい歪んでいる
わかりやすい例が「現状維持バイアス」です。これは、いま、うまくいっていれば、それを維持する方向で考えようとするバイアスです。たとえば、転職を考えている人が、転職した際のメリットとデメリットを天秤にかけたとき、いまがうまくいっているとしたらわざわざ転職するのはリスクが大きいかもしれません。そのとき、現状維持バイアスが働いていればリスクを回避できるわけです。このように、誰もがもっていて同じ傾向があるものをバイアスと呼んでいます。
「バイアスが働いている」「バイアスがかかっている」状態に対して、本書を読む前まではたしかにマイナスイメージがありました。
マイナスイメージがあったので、バイアスに気付いた時にすることとしては、バイアスが働かないように意識するとか、客観的にチェックするとか。
ただ引用にもあるように「バイアス自体は、よくも悪くもありません。」とのこと。
「よくも悪くもない」を受け止めたうえで、「じゃあ実際バイアスとどう向き合えば良いのか」は何とも明確な答えが自分の中で見えてこないな…と。
とりあえずバイアスに対してマイナスイメージは抱かないようにして、無条件でバイアスを取り払う方向にいかないようにするのが良いのかなと。
そして、多くのバイアスを事前知識として知っておく。
みたいなスタンスでいこうかなと思います。
多くのバイアスを事前知識として知っておけば、自分がバイアスにかかっている状態に気付きやすくなるかなと。
気付いたうえで取り払う方向にいくか、そのバイアスを維持する方向にいくかを随時判断する流れが良いのかなと思いました。
(書いておいてアレですが、このスタンスを言葉で表現するのはなかなか難しい…)
認知バイアスの重要ワード①:”誤謬”の正体
優秀なシステム1だがバイアスを生むことも
人間が、ベストとはいわずともベターくらいの判断をするためには、意識的に考える必要はあまりありません。(システム1起動)。瞬時に判断しないと生き延びられない事態を処理するためなのですが、そのシステム1の働きが、ときとしてバイアスを生む原因にもなります。
また、ふつうはバイアスの存在を自覚できません。そのため、誤謬(=誤り)が招く不都合を避けるのは、難しいのです。しかし、だからこそ、人間がどのようなバイアスに陥りがちなのかを知っておくことは非常に大切なのです。典型的な論理的誤謬の例:自然主義的誤謬
「うちの会社では、ずっとこういう方法をとってきた」というのは、”事実”。それを、「ずっとこういう方法をとってきたから、これからもそうするべき」などと、規範として捉えるのは誤謬です。このように、「である」(物事の自然な状態)を「べき」(物事のあるべき状態)だと話を飛躍させる論理的なまちがいを「自然主義的誤謬」といいます。
引用の中だと「ふつうはバイアスの存在を自覚できません。」「だからこそ、人間がどのようなバイアスに陥りがちなのかを知っておくことは非常に大切なのです。」この辺りの内容が印象的でした。
たしかにバイアスが働いているのを自覚するのって難しそうです。
気付くとしたら、そういったバイアスの存在を知識として知っていて、その知識とその時の自分の状態を照らし合わせてバイアスが働いていないか判断する。みたいな感じでしょうか。
となると結局大切になってくるのは、様々なバイアスを知っておくことになるのかなと。
また、引用した事例「自然主義的誤謬」に関して。
事例のエピソードとして書かれている「ずっとこういう方法をとってきた ⇒ これからもそうするべき」の論理的な間違いは、自分もやってしまっている気がします。
自分は変化が苦手な人間なので、過去の成功事例にすがってしまうというか、不安が増幅しないためにもそうしているフシがあります。
上記の行動の影響範囲が自分のみならまだ良いのですが、周りにも影響を与えているケースがあるかもしれません。
一度立ち止まって「”べき”に固執してないか」を自問自答する必要があるかもなと思いました。
せっかくなので「自然主義的誤謬」に関して、参考リンクを貼っておきます。
認知バイアスの重要ワード②:”ヒューリスティックス”の正体
生存に必要な判断をするためにすばやく情報を処理する
人間がほかの動物に捕食されることはめったになくなった現代ですが、すばやく情報を処理し、判断することは、生き残るうえで大切なことです。
食べ物を手に入れるのが間に合わなければ飢え死にします。適切な時間に睡眠をとらなければ健康を維持できません。生殖を行って遺伝子を残すのも、時間制限があります。すばやく情報を処理し、おおよそうまくいく行動をとることは、常に何らかのタイムリミットを抱えている生物にとっては、メリットがあるのです。
心理学では、多少おおざっぱでもおおよそうまくいく、すばやく行うことに特化した判断の方法を「ヒューリスティックス的判断」と呼んでいます。
「ヒューリスティックス」は以前の記事で、本書と同じシリーズの行動経済学でも引用した内容です。
この辺りが、先ほども触れた「行動経済学と近いなぁ」と思った部分です。
ただ「行動経済学」と「認知バイアス」で紹介されている事例はけっこう違います。
両方読んで、共通点を感じながら読むのも楽しいかなと思います。(現に自分は両方とも楽しく読めました。)
で、引用の中で印象的なのは「多少おおざっぱでもおおよそうまくいく」という部分。
以前も同じようなことを書きましたが、意外と正解率が高いというのが面白いなと感じます。
おわりに
ということで「ビジネス教養 認知バイアス(前編)」に関してアレコレ書いてみました。
今回の記事で引用したのは
の3つでした。
前編ということもあり、認知バイアスの概要的な内容となりました。
次回からは具体的な事例を引用しながら書いていく予定です。
「ビジネス教養 認知バイアス」は3記事に渡って書きました。
他の記事も良ければぜひ。
- 【感想】『ビジネス教養 認知バイアス』[前編] ← 今回の記事
- 【感想】『ビジネス教養 認知バイアス』[中編]
- 【感想】『ビジネス教養 認知バイアス』[後編]
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