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【感想】『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』[後編] モラル信任効果

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「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」を読んだ感想の続きを書いていきます。

情報を正しく選択するための認知バイアス事典

今回は後編です。

前編の記事はこちらです。

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それではサクッと本題へ。

本の内容

まずはAmazonから本の内容を抜粋します。

認知バイアスに分類される用語は数百以上存在しますが、
意味や用法が曖昧であったり、重複しているものも多いものです。
そこで論理学・認知科学社会心理学3つの専門分野それぞれで必要不可欠な20項目を厳選し、
合計60項目にまとめ、図版やイラストを交えて解説しています。

こんな感じの本です。

ここは前回の記事と同様です。

いくつか引用と感想

気分一致効果

気分一致効果からは逃れられないのか

もしも人が皆、落ち込みのループを避けられないのだとしたら、人生はとてもつらいものとなるだろう。しかし、そうしたネガティブな気分を和らげる現象として、気分一致効果というものも知られている。
これは、ネガティブな気分になったとき、過去の楽しい経験について思い出すことを指す。
このことから、人は嫌なことがあっても、どうにか不快な気分を緩和し、積極的に気分を切り替えることで、日々を過ごしているということが示される。これを裏づけるように、ネガティブ方向への気分一致効果は、ポジティブ方向よりも比較的生じにくいということも諸研究から明らかになっている。
ただし、自分が落ち込んでいる自覚があれば、より意識的に「気分の切り替え」を行うためにも、友人に電話したり、家族に自分の失敗を笑い話として話したり、あるいは自分の好きなことをして静かに過ごしたりといった気分転換を早めに行い、落ち込みループを未然に防ぎたい。

気分一致効果に関しては以前の記事でも引用しています。

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イラストでサクッとわかる!認知バイアス――誰もが陥る思考の落とし穴80

【感想】『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』[前編] - 気分一致効果:へこんだときはイヤなことを思い出す

気分一致効果の詳しい説明は上記リンクの引用にお任せして、本書で個人的にピックアップしたかった「気分一致効果」の部分のみを引用してみました。

認知バイアスの本を何冊か読んだのですが、バイアスの説明のみに終始していることが割とあり、物足りなさを感じていました。

今回引用した内容は、説明のみに終始せずに一歩踏み込んだ感じがあります。
気分一致効果を説明したうえで、「どう向き合うか」といったところまで踏み込んでいる感じです。
本書は全体的にその傾向があり、読後感が良かったのはそのためかなと思います。

上記リンクの引用の感想では、「なるべく明るい気分をキープするように意識する」といった内容を書きました。
書いておいてなんですが、元がネガティブなこともあって、それってなかなか難しいんですよね。

落ち込みを早めに察知し、今回の引用にあるように気分転換を早めに行う方がリアリティのある対策な気がしました。

モラル信任効果

あんな立派な人がなぜ?

何か大きな事件が起きたとき、容疑者をよく知る人物がインタビューに答えることがある。その中で「まさかあんなに立派な人が」とか「奉仕活動に積極的な人なのに」などとコメントされているのを聞いたことがあるのではないだろうか?
福祉活動に熱心だったり、社会貢献に注力している企業の役員だったり、社会の役に立つような活動で有名だったり・・・そのような人が犯罪や、倫理的に良くないことをしてしまうのは珍しくない。その要因の1つとして、「当事者による思い込み」から生じるバイアスが挙げられる。
このバイアスでは、まるで免罪符を持っているかのように錯覚してしまう。つまり、自らが立派であること、社会の役に立っていることを認識しているがゆえに、「これだけ素晴らしいのだから、多少倫理に反するようなことを行ったとしても許されるだろう」と無意識のうちに考える。これをモラル信任効果という(Monin and Miller, 2001)。

「あんな立派な人がなぜ?」と思ったことは、身近な人であったり、ニュースであったりで感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

良いことを1つしたのだから、それと同じくらいの悪いことなら1つくらいしても大丈夫と思ってしまう。
これはなんだか変な論理展開ではあるものの、陥ってしまいやすいロジックな気もします。

悪いことなんてしなきゃいいのに、なぜか良いことと悪いことの天秤があって、「このくらいなら…」と思ってしまう。

自分はさすがに倫理に反することをしていないはずですが、この「モラル信任効果」が生じてしまうことには不思議と納得感があります。

 

「モラル信任効果」に関して、もう1つ引用してみます。

謙虚でいることが一番の対策

モラル信任効果は、特別に選ばれた人だけではなく、普通の人、日常の生活の中でも生じる可能性があることは先述したとおりだ。
自分はボランティアをして社会の役に立っているので短時間の路上駐車をしても許されるなど、自分が社会的な貢献をしていることを理由に、関係のないところでのささいな不正が許されると錯覚するのである。
犯罪や自分以外の誰かを傷つける可能性があるモラルに反した行いが頭によぎったとき、「このくらいなら許されるだろう」という自分の甘えに気づき、自らを律することができるかどうかが重要といえる。
また、そのような振る舞いを諌めてくれる人が存在したとき、ありがたいと思えるか、思えないかで、その人の生き方も大きく変わってくるだろう。

1つ前の引用が「モラル信任効果」の説明で、今回の引用が「モラル信任効果」の対策的な内容です。

モラル信任効果が生じないようにするにはどうすればいいか、何か良い対策があるのか気になりながら読んでいたのですが、「謙虚でいること」が一番の対策とのこと。

なんともシンプルな対策ですが、これしかない感じもします。
そして意外と難しいことでもあるのかなと。

おわりに

ということで「情報を正しく選択するための認知バイアス事典(後編)」として書いてみました。

今回の記事で引用したのは

  • 気分一致効果
  • モラル信任効果

の2つでした。

本書が面白かったので関連書籍で何かないか探してみたところ、同じシリーズでもう1冊出ているようでした。

本書は「論理学」「認知科学」「社会心理学」3つの専門分野からのアプローチで、以下の本は「行動経済学」「統計学」「情報学」3つの専門分野からのアプローチのようです。

上記の本も面白そうなので、いずれ読んでみようと思います。
著者は異なるようですが、監修者は同じようなので面白さは期待できそうだなと。

前編の記事、改めてもう一度貼っておきます。
こちらも良ければぜひ。

miya-moto-blog.hatenablog.com

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読書感想リンク

サクッとわかる ビジネス教養 認知バイアス

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情報を正しく選択するための認知バイアス事典

情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編

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