「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」こちらの本、読みました。
認知バイアスに関する本は今回の記事で3冊目です。
これまでの読書感想は、この記事の最後に関連記事としてリンクしておきます。
なお、本書の読書感想は「前編」「後編」の2つに分けて投稿しようと思います。
今回は前編としてアレコレ書いていきます。
本の内容
まずはAmazonから本の内容を抜粋します。
■認知バイアスに分類される用語は数百以上存在しますが、
意味や用法が曖昧であったり、重複しているものも多いものです。
そこで論理学・認知科学・社会心理学3つの専門分野それぞれで必要不可欠な20項目を厳選し、
合計60項目にまとめ、図版やイラストを交えて解説しています。
こんな感じの本です。
1つのバイアスに対して4ページ使って解説されています。
「4ページ × 60バイアス」なので、なかなかのボリュームでした。
少し堅い文章にも感じましたが、自分としては認知バイアスの本は3冊目なので割とすんなり読めました。
また、1冊目2冊目が入門的な本だったので、3冊目の本書はそれより読み応えのある感じで良かったです。
いくつか引用と感想
希望的観測と絶望的観測
希望的観測が存在することを踏まえると、絶望的観測(好ましくない結果が起きることを想像して、過度に絶望してしまうこと)も同様に存在すると考えられるだろう。
希望的観測から物事を始められる人というのは、仮に失敗してしまっても、「また新たに挑戦しよう!」と気持ちを切り替えやすいものだ。しかし、絶望的観測の傾向が強い人は、失敗しない代わりに挑戦もしない。
ビジネスシーンで考えた場合、どちらの傾向の人と仕事をしたいと感じるだろう。たとえ「根拠のない自信」であっても、それを持っている人と持っていない人とでは、印象はガラリと変わるはずだ。
本書では「希望的観測」の詳しい説明があったうえでの「絶望的観測」です。
ですが全てを引用すると長くなりすぎてしまうので、「希望的観測」の部分は割愛しました。
個人的にピックアップしたかった「絶望的観測」のみを引用しています。
「希望的観測」を割愛する代わりに、補足となるような参考サイトをリンクしておきます。
今回引用した内容を読んだ時に、どちらかといえば希望的観測の傾向が強い人と仕事をしたいなと思いました。
あくまで”傾向”が強い人なので、希望的観測ばかりの人だと心配になったりもしそうです。
そして絶望的観測ばかりの人だと士気が下がる気もします。
結局はどちらも持ち合わせつつ、基本は希望的観測で動ける人が良いかなと思いました。
なんだかポジティブ・ネガティブと言い換えても問題なさそうな気もしましたが、"絶望的観測"というワードは初めて聞いた気がしたので引用してみました。
疑似相関
アイスクリームと溺水事故
「アイスクリームの売上が上がると、プールでの溺水事故件数も増える」というデータがあったとしよう。これをどのように解釈すべきだろうか?
アイスクリームを食べると水に溺れやすくなる? それとも、溺れて救助された人はその後アイスクリームが食べたくなる?
これは、2つの事象(①アイスクリームの売上増加、②プールでの漏水事故件数増加)の間に因果関係があるように解釈した例である。しかし①と②が同時に起きているからといって、必ずしも因果関係があるわけではない。潜伏変数を見つけ出そう
上記の例は、目に見えている2つの事象以外に目を向けなければならない。①と②それぞれに影響を与えている、隠された要因として「気温」が挙げられる。気温が高くなると、アイスクリームがよく売れる。気温が高くなると、プールに出かける人が増える(その結果として漏水事故件数も普段より増加する)。
気がついてしまえば単純な話だが、アイスクリームの売上と漏水事故件数だけに目を奪われていると、2つの間に直接の関係性(相関)があるように見えてしまう。これを指して、擬似相関と呼ぶ。
したがって、2つの事象間の関連について考えるときは、常に「気温」のような3つ目の変数が存在していないかに留意しなければならない。このような変数を、潜伏変数(あるいは第3の変数、交絡変数)と呼ぶ。
「アイスクリームと溺水事故」の件は、疑似相関の話でよく見かける事例です。
この事例は分かりやすいので、疑似相関であることに気付きやすく、潜伏変数も見つけ出しやすいはず。
ただ、疑似相関の色々な事例を見ていくと、意外と潜伏変数を簡単に見つけられなかったりします。
せっかくなので、疑似相関の事例を扱いつつ解説しているページをいくつかリンクしておきます。
潜伏変数を簡単に見つけ出せる事例もあれば、意外と見つけ出せない事例もあったりするかなと思います。
また、疑似相関の引用を読んだ後なので気付きやすくなっている可能性もあるかなと。
時間が経って疑似相関の記憶が薄れた頃にデータを見て、「疑似相関かもしれない」といった疑問を向けることができるかがポイントになってくるかなと思います。
「疑似相関」に関して、もう1つ引用してみます。
数字とうまくつきあう
私たちはよく、数字に振り回され、惑わされる。
さまざまなメディア、本、広告の中に、「統計によれば・・・」という文言が散見されるが、私たちはそれがどのようなデータに基づいていて、どのように解釈されたものかに注意を払う必要がある。ここで見てきたとおり、同一のデータからまったく異なる解釈を導き出すことも可能なのだから。
1つ前の引用が「疑似相関」の具体的な説明で、今回の引用が「疑似相関」とどう向き合うか的な内容です。
疑似相関を見抜くには、注意を払うしかないのかもしれません。
ただそもそも、疑似相関を見抜く必要がある状況が自分の日常ではそんなにない気もします。
仕事でデータを扱う時に、注意を払うくらいでしょうか。
また、データを基にした説明を受けた時に疑似相関のようなトリックに騙されないように注意するくらいでしょうか。
そもそもそこまで込み入ったデータでやり取りすること自体、自分は少ない気もします。
ですが、データを真に受けて疑うこともしないスタンスだと少し危なっかしい感じもします。
データの解釈を疑ってみたり、違和を感じ取ったりするスタンスを持つことが大切なのかなと思いました。
おわりに
ということで「情報を正しく選択するための認知バイアス事典(前編)」として書いてみました。
今回の記事で引用したのは
- 希望的観測と絶望的観測
- 疑似相関
の2つでした。
いつもはだいたい引用3つなのですが、引用の文量が多めになったので2つとしました。
「疑似相関」は色々と頭に残る内容でした。
次回は「情報を正しく選択するための認知バイアス事典(後編)」としてアレコレ書いていきます。
(追記)
後編の記事を書きました。
こちらも良ければぜひ。
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