『最新科学でわかった「人の心」のトリセツ 世界の心理学者が研究していること』を読んだ感想の続きを書いていきます。
今回は後編です。
前編の記事はこちらです。
それではサクッと本題へ。
本の内容
まずはAmazonから本の内容を抜粋します。
スタンフォード大学、ハーバード大学、コロンビア大学など数万の研究データから導き出された人間の本性とは?
心理学者たちが今どんな研究をしているのかがこの1冊でわかる! 心理学には面白い研究がたくさんあります。本書では、よく他の心理学の本で取り上げているような「スタンフォードの監獄実験」、「パブロフの犬」のような研究はどの研究は一切入れておりません。
今まで何十冊、何百冊と心理学の本を読んできた人でも初めて目にするものばかりだと思います。
ぜひ、本書を通して心理学の奥深さを味わってください。
こんな感じの本です。
ここは前回の記事と同様です。
著者情報
ダイヤモンド・オンラインに、本書の著者である内藤誼人さんのページがあったのでリンクしておきます。
内藤さんの公式ホームページがあったら良かったのですが、なかったため代わりにダイヤモンド・オンラインの著者ページをリンクしました。
上記リンクにプロフィールや、内藤さんが書いた記事が一覧表示されています。
いくつか引用と感想
たまたま生まれた日が悪いだけで
日本では、学年の区切りが4月1日です。そのため3月生まれの人は、4月生まれの人よりも、ほとんど1年近く成長の差があるのに、同じ学年ということにされてしまいます。
(中略)
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のリチャード・モローは、小さな子どもでは、生まれた日の差が大きく出るのではないかと考えました。そこで93万人を超える6歳から12歳までを対象に、ADHD(注意欠如・多動症障害)と診断されるリスクについて調べてみました。カナダでは、1月から12月までをひとつの学年と設定しているのですが、12月生まれの子どもは、1月生まれの子どもに比べ、ADHDと診断される割合が、男の子で30%高く、女の子で70%も高いことがわかりました。障害があるということで薬を処方されるリスクも、男の子で41%、女の子で77%も高いことも判明しました。
ADHDとは、集中力がない(注意欠如)、じっとしていられない(多動性)、思いつくと行動してしまう(衝動性)といった症状が見られる障害ですが、ちょっと考えてみればわかるとおり、ほとんど1年も差があれば、小さな子どもなら集中力が続かなくて、じっとしていられないのは当たり前です。
「ひょっとして早生まれはちょっと不利なんじゃ…?」
こういった疑問を持ったことがある人は多いかなと思います。
今回の引用に書かれている研究データでも、残念ながらそういった内容のようです。
しかもけっこうな割合で不利なデータが出ているなと感じてしまいました。
ちなみに「早生まれ」で検索したところ、以下の記事が上位に表示されました。
コメント数から見ても、やはり疑問を持っていた人が多いのかもなと感じました。
ちなみに見出しの「たまたま生まれた日が悪いだけで」に関して。
本書の見出しをそのまま引用しているのですが、「生まれた日が悪い」という表現にはちょっと抵抗がありました。
別の表現に変えようかなと悩みつつ、結局そのまま引用することにしました。
アスリートは生まれた日が大事
スポーツの世界でも、いつ生まれるのかは、その人の才能や実力よりも重要だったりします。
(中略)
ベルギーにあるルーベン・カトリック大学のウェマー・ヘルセンは、アスリートにとっては、まさしくいつ生まれるかが大切であることを、はっきりとしたデータで証明してみせてくれています。もともとベルギーでは、サッカー選手の年齢を区切る期日は8月1日でした。そのためなのでしょう、ヘルセンが調べてみるとトップ選手の約4分の1は、8月か9月生まれだったのです。ところが、ベルギーのサッカー協会は、あるとき年齢を区切る期日を1月1日にしました。
この変更が行われる前後の2年間における、10歳から12歳、12歳から14歳、14歳から16歳、16歳から18歳のコースのセレクション(選抜選手)の成績を調べてみると、案の定、8月生まれがグッと減り、今度は1月生まれほどセレクションで「才能あり」と評価され、合格しやすくなることが多くなったのです。
1つ前の引用と同じく、早生まれに関する内容です。
引用に「トップ選手の約4分の1は、8月か9月生まれだった」とあります。
これを見ると、たしかに8月9月の割合は多いですが、そこまで大きな差ではない気もしました。
1つ前の引用では早生まれが不利に感じるリンクを貼ってしまったのですが、ここでは逆に不利じゃないと主張しているリンクを貼っておきます。
ネットで早生まれに関して色々なページを見てみると、「早生まれは不利」の意見と、「早生まれは不利じゃない」の意見の両方が多く見つかります。
色々と考えさせられるデータではありつつ、あまり気にしすぎないほうが良さそう…というのが個人的な感想です。
なんともハッキリしない結論ではありますが、早生まれによって変なバイアスが働いてしまうのは良くなさそうだなと。
サッカー選手が大げさな転倒アピールをする理由
英国ポーツマス大学のポール・モリスは、プロのサッカー選手の転倒場面を数多く集め、サッカーに関しては素人の人たちに見せて、どれが意図的で、どれが意図的でないかを見抜かせるという実験をしてみたことがあります。すると、サッカーをよく知らない人でさえ、ほぼ確実に大げさに転んでいるだけかどうかを見抜くことができました。審判ならなおさらです。審判はそういう転倒には、決してファウルをとることはありませんでした。
つまり、プロのサッカー選手たちがこぞってやっている転倒アピールはまったく何の意味もない、ということがモリスの研究で明らかにされたわけです。では、なぜプロのサッカー選手は、大げさに吹き飛ばされて見せるのでしょうか。残念ながら、その理由はわかりません。
「他の選手もやっているから、とりあえず自分もやっておくか」ということ以上の意味を見つけるのは難しいのです。ほとんどあり得ませんが、それでも審判がファウルをとってくれればもうけもの、くらいに考えているのかもしれません。
自分はスポーツ観戦をあまりしませんが、サッカーは特に観戦数が少なめです。
その理由の1つに、この大げさな転倒アピールがあるのかもしれません。(久しく観ていないので、今はそこまでアピールしていないのかもしれませんが。)
サッカーファンの人には怒られてしまうかもしれませんが、転倒アピールを見ると少し心が苦しい感じがしてしまいます。
で、今回の引用で「転倒アピールはたいして意味がない」と分かってしまうと、より観戦しなくなりそうです。
それにしても、「サッカー選手の転倒場面を数多く集め、素人の人たちに見せて、意図的かどうか見抜いてもらう」というのは、なかなか意地悪な実験をするなぁ…と思いました。
これに付箋を貼って、こうやって記事で引用している自分も人のことは言えませんが。
おわりに
ということで『最新科学でわかった「人の心」のトリセツ 世界の心理学者が研究していること(後編)』として書いてみました。
今回の記事で引用したのは
- たまたま生まれた日が悪いだけで
- アスリートは生まれた日が大事
- サッカー選手が大げさな転倒アピールをする理由
の3つでした。
1つ目、2つ目の引用は「早生まれ」に関してのアレコレでした。
今回引用した内容を読んで昔から思っていた疑問が少しクリアになりましたし、今回記事にするにあたって色々調べたことで理解が深まりました。
とはいえ色々調べた結果、「あまり気にしすぎないほうが良さそう…」というハッキリしない感想になりましたが。
前編の記事、改めてもう一度貼っておきます。
こちらも良ければぜひ。
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