アフター6ジャンクション(略してアトロク)から、言語学関連のお気に入り回をピックアップしてみようと思います。
ゆる言語学ラジオとかも欠かさず聴いてるので、おそらく言語学は少し興味がある分野なんだと思います。
今回ピックアップしたポッドキャストは
の2本です。
言語学関連として括ってしまいましたが、厳密には「ポケモン×音声学」「悪口×言語哲学」と表現した方がイメージとしては近いかもです。
それでは今回は「ポケモン×音声学」「悪口×言語哲学」に関してアレコレ書いていきます。
アフター6ジャンクション 番組概要
アトロクの番組概要・メインパーソナリティ・曜日パートナーの情報などは以前記事にしています。なのでそちらをご参照頂ければと。
【アフター6ジャンクション】ブック・ライフ・トークが面白い。好きな回をピックアップ - 番組概要
ゲストプロフィール
今回紹介する2本のポッドキャストは、それぞれ専門の方がゲストで出演しています。
それぞれのプロフィールを引用しておきます。
川原繁人さん(ポケモン×音声学のゲスト)
川原 繁人(かわはら しげと、1980年 - )は、日本の言語学者、認知科学者、音声学者、実験音韻論者。専門は主にインターフェイス論(特に、音韻論と音声学、形態論や統語論とのインターフェイス)や音象徴、実験言語学一般。実験やコーパス分析に基づいた言語理論の研究を多く行っている。ジョージア大学、ラトガーズ大学助教授 (Assistant professor) を経て、現在慶應義塾大学言語文化研究所准教授。父親は数理物理学者の川原睦人。
出典:川原繁人 - Wikipedia
和泉悠さん(悪口×言語哲学のゲスト)
和泉 悠(いずみ ゆう)は、日本の言語哲学者。南山大学准教授。
大阪大学文学部卒業。メリーランド大学カレッジ・パーク校Ph.D.。メリーランド大学、ジョージ・メイソン大学、宝塚大学、近畿大学各非常勤講師、日本学術振興会特別研究員PD を経て、2017年より南山大学人文学部人類文化学科准教授。
出典:和泉悠 - Wikipedia
プロフィール引用しましたが、ポッドキャスト内でもプロフィール説明があったはずです。
なのでとりあえずポッドキャスト聴き始めるでも良いかなとも思います。
その辺はお好みで。
ポッドキャスト
ということで前置きが長くなりましたが、ポッドキャスト貼ります。
「音声学者が薦める『ポケモン』と『日本語ラップ』の ちょっとだけ?マニアックな楽しみ方」特集
エピソード内容の紹介文を引用します。
音声学の分析手法を使うと、ポケモンの名前も、ライムスターの歌詞の「韻も今までと全く違う解像度で「聞こえ」てくるそう。 音声学の奥深い世界を、「ポケモン」と「ラップ」を通じて、慶應義塾⼤学 ⾔語⽂化研究所所属の、言語学・音声学の研究者 川原繁人さんにご紹介いただきます。
「『悪口』を通じて考える。“言語哲学”って一体なんだ?」特集
こちらもエピソード内容の紹介文を引用します。
何気なく言ってしまいがちな、この「悪口」を入り口に 議論がつきない“言葉の善悪”について、哲学・言語学の観点から解き明かします。 お話を伺うのは、大学・准教授で新刊「悪い言語哲学入門」を出版された「和泉 悠」さんです。
感想
ポケモン×音声学
番組前半は「ポケモン」
これまで「ポケモン×音声学」と表現していましたが、前半がポケモンに関するパートです。後半は日本語ラップに関するパートです。
「ポケモン言語学」という研究分野があるそうです。リンクも貼っておきます。
※以下のリンクもゲストの川原さんによるものみたいです。
放送の内容はざっくり以下のような内容です。
気になった方は実際にポッドキャストを聴いて頂ければと。
「ポケモンの名前に含まれる音から、その属性や特徴をどの程度予測できるのか」を音声学の手法を使って統計を交えながら解析していくのが「ポケモン言語学」
名前が強そうなポケモンは実際にパラメータ上も強いのか
例外はあるが、統計的にみるとパターンが見えてくる
伝説のポケモンというよりかは、進化するポケモンが研究しやすい
進化する過程で名前も強くなるか
名前に濁音がついてるポケモンが強い傾向にある
「進化する過程で名前も強くなる」
「名前に濁音がついてるポケモンが強い傾向にある」
放送内では上記に該当するポケモンの例として「イワーク → ハガネール」が紹介されていました。
ビジュアルを見てしまうと、いかにも進化で強くなっているように見えます。
ですが、名前だけで見ても強くなっているように感じますね。
放送を聴いた後だと意識的にそういった目線で見てしまうかもですが、そこまで意識せずとも名前の変化からなんとなく強くなったように感じるのではないかなと思います。
ちなみに自分はポッドキャストを聴いていて一番最初に浮かんだのは「ギアル → ギギアル → ギギギアル」です。
進化の過程で「ギ」が増えていってるだけなので、あまりにも分かりやすい例な気もしますが。
でも明らかに進化で強くなっている感じがします。
カラカラ → ガラガラ
「カラカラ → ガラガラ」も分かりやすい例ですね。
「カ」を「ガ」に変えただけっていう。でも強くなった感じしますね。
コラッタ → ラッタ
濁音のルールからは外れますが「コラッタ → ラッタ」も面白い例ですね。
進化すると「コ」が抜けます。
これは「コ」を「子」と捉えて、進化すると「子」がなくなる。「大人」になった。
みたいなことかもしれません。
これは放送で言及があった訳ではなく、個人的な見解ですが。
ただポケモンは海外でも人気とのことで、「コ」を「子」と捉えるのは日本以外ではなかなか伝わらないニュアンスかもしれません。
海外ではポケモンの名前を変えることもあるそうなので「コラッタ → ラッタ」ではない可能性もありそうです。
あと、名前にサ行が含まれると「ひこうタイプ」っぽくなるそうです。
その理由も放送内で話しているので、気になった方は実際にポッドキャストを聴いて頂ければと。
このポッドキャスト聴いた後にポケモン図鑑を眺めてみると面白そうですね。
ちなみにゲストの川原さんはポケモン以外にも「プリキュアの名前」や「AKB48のニックネーム」なども研究対象みたいです。
だんだん川原さんの研究分野に興味が湧いてきました。
番組後半は「日本語ラップ」
韻を踏むときに子音をどれだけ意識してるか問題
どんな字余りなら許すのか問題
放送の内容はざっくり上記のような内容です。
気になった方は実際にポッドキャストを聴いて頂ければと。
あと実際の放送では曲が流れていたのですが、ポッドキャスト版は権利の関係で曲がカットされます。(トーク内容はカットされない。)
より楽しみたい方は当該の曲を流しながらお楽しみください。
アトロクのパーソナリティはRHYMESTERの宇多丸さんで、ゲストの川原さんはRHYMESTERのファンであり言語学者。
なので、かなり濃い内容になっています。
悪口×言語哲学
「悪口ってなんだと思われますか?」
定義してみようとすると、意外と難しいのではないかと思います。
ポケモン言語学と比べると固めな内容に感じましたが、宇多丸さんも水曜パートナーの日比さんも「こういう悪口ってどう思いますか?」と問いかけ、それをゲストの和泉さんが解析してくれる感じがすごい良かったです。
毒蝮三太夫さんの芸風はどう捉えるか?悪質な悪口との線引きは?
というような話もしていました。
悪口で笑いを生み出すようなキャラになってしまえば、その人が言う悪口なら世間からも広く受け入れられる気もします。
ただ、きっとアンチも多いだろうなとも想像できるわけで。リスクもありますよね。
「主語がでかい」の件にも触れています。
言い回しや言葉のチョイスで聞き手の印象をうまく操作したり、「自分はうまく操作されていないか?」という意識も大切だなと思いました。
「文脈」「シチュエーション」「自分と相手の関係性」「キャラクター」「芸風」「声のトーン」「表情」「SNS上」などなど、様々な状況が絡んだうえで、発言した内容が悪口なのかどうか。
悪口と捉える人も居れば、悪口と捉えない人も居る。
なんとも考えさせられる内容でした。
おわりに
言語学のみだと難しい印象を持ってしまいがちですが、そこに身近なテーマを掛け合わせることで興味が湧いてきますよね。
特に「ポケモン×音声学」はかなり興味深い内容でした。
自分がポケモンシリーズをほとんどプレイしているからかもしれませんが。
アトロクのお気に入り回は他にもたくさんあります。
引き続きアトロクのお気に入り回をピックアップして記事にしていこうと思います。
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