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【感想】『行動経済学の超基本』[後編] 長所と短所がある「ナッジ」

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行動経済学の超基本」を読んだ感想の続きを書いていきます。

ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本

今回は後編です。

前編の記事はこちらです。

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それではサクッと本題へ。

本の内容

まずはAmazonから本の内容を抜粋します。

行動経済学を改めていちから学び、“かしこい消費者”を目指す本。様々な実例や実験を図解でわかりやすく説明しているので、経済学が苦手な人でもスッとよくわかる。「カモにならない」など、すぐに役立つ囲みコラムも楽しい。

こんな感じの本です。

ここは前回の記事と同様です。

いくつか引用と感想

意識せずに健康増進させる

アメリカの経済学者リチャード・セイラーらは、行動経済学の「ナッジ」を提唱した功績で、2017年にノーベル経済学賞を受賞しました。「ナッジ」を和訳すると「肘で軽く突く」です。選択を禁じることも強制することもせず、また報酬を与えることもなく、人間の行動をより良い方向へ促す仕掛けや手法です。
「ナッジ」はさまざまな場面で、良い行動を自発的に起こさせるために活用されています。頭ではわかっていても、行動ができない健康増進でも「ナッジ」は使われています。無意識に行動できる仕掛けや楽しみの提供などにより、健康に良い行動へと人を促します。

例)つい歩きたくなる階段で運動不足解消
2009年スウェーデンストックホルムの地下鉄odenplan駅で階段をピアノの鍵盤にする実験が行われました。階段を踏むと音階に合わせたピアノの音が出るようにした結果、階段を利用する人が66%増加しました。

「地下鉄の階段を鍵盤にする」という事例は、ユニークで良いですね。
たしかに階段からピアノの音がするなら、エスカレーターを使わずに階段を利用したくなります。

普段ならエスカレーターを利用するところを、「階段からピアノの音がする」というだけで階段を利用したくなる。
結果として、自発的に健康に良い行動に促される。
うまい仕組みですね。

ネットで探したら記事になっていました。

www.narinari.com

こういった事例は、ビジネス(ビジネス書)との相性が良さそうですね。
「この事例、うまくやればビジネスにも転用できそう」とか、「IKEA効果を活用して商品を売り出そう」とか。
IKEA効果は前編でも引用しました。

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【感想】『行動経済学の超基本』[前編] - 自分でつくると価値が上がる:IKEA効果

読みたい本を探す時に「行動経済学」に関する本をよく見かける理由が、少しだけ分かった気がします。

ナッジは街や施設をきれいにする

誰もが必ず公共マナーを守るのであれば、おのずと街や施設はきれいに保たれるはずですが、現実はそううまくいきません。人は機械とは違って完璧ではありません。不完全さ、不合理さ、弱さがあるので、マナーに反する行動を取ることもあります。こうした現実の人間らしい行動を認めることが、行動経済学の基本的な考え方です。良心に訴え、小言のようなメッセージを伝えても、街や施設はきれいになりません。それを前提として、人を良い方向に誘導するのが「ナッジ」です。うまい仕掛けを用意すれば、清掃や管理をする団体や担当者の手間やコストは減り、利用者も快適に使えるのです。

例)「楽しみ」が人の気持ちを変え、街をきれいにした
人は正しいことだとわかっていても、強制されると反発したくなります。ゲーム感覚を取り入れ、人々を良い方向に誘導し、街がきれいになりました。
・投票スタイルで吸い殻のポイ捨てを減らす
・ゴミ箱をバスケットのゴールにする

「投票スタイルで吸い殻のポイ捨てを減らす」という事例が印象的でした。

本書で図解されている投票スタイルのゴミ箱は、中身が見えるように(投票結果が分かるように)なっています。
そうなると心理的に、ポイ捨てせずに投票したくなりますね。

こちらもネットで探したら、似たような記事がありました。

encount.press

prtimes.jp

ポイ捨ては最初の一人目が罪深いですよね。
1つでもポイ捨てされていると、二人目以降は罪悪感が薄くなってしまう気がします。

こういった現象を「割れ窓理論」と言うみたいです。

sdgs-navi.com

で、投票スタイルのごみ箱だとポイ捨ての一人目が生まれにくい気がしますね。

長所と短所がある「ナッジ」

ナッジの危険性
第5章で紹介した「ナッジ」はわずかな働きかけや工夫で、人の行動を導くものです。しかし、効果が大きいだけに危険でもあります。「ナッジ」を使えば当人に自覚されず、したがって批判も抵抗もされずに他人を動かせます。人形を陰から操るかのように、他人の判断や行動をコントロールできるのです。これを悪用して他人から利益を奪って、私腹を肥やす者がいても不思議はありません。

悪用されたナッジ『スラッジ』
このような、人の心理的バイアスを悪用し、本来の目的と外れた方法で、人をだまして不当に利益を得る行為を「スラッジ(Sludge)」と呼びます。ヘドロや汚泥の意味です。ECサイトなどで買い物の入力をする際に、有料オプションの追加やメールマガジン配信などを認める初期設定になっていることがあります。これは典型的なスラッジです。また契約後に解約しにくい構造のサイトもスラッジの一つです。

ナッジを活用して効果を実感すると、徐々にエスカレートしてしまう予感がしました。
そういった時に都度立ち戻って、悪用しないように気を付けたいですね。

引用にもあるECサイトとかは、職業的に自分もそうしてしまう恐れがあります。
さすがにないとは思いつつ、意図せずスラッジになってしまう可能性は捨てきれないかなと。

うまくユーザを誘導して、ユーザ的にも満足する方向なら「ナッジ」の活用となります。
ですがユーザを誘導して、結果的にユーザが不満に思ったり、トラブルが発生してしまったら「スラッジ」になってしまいます。

ナッジとして活用したはずが、意図せずスラッジになってしまうこともありそうです。
ナッジを活用するにしても、そういった点は気を付けたいなと。

ナッジを活用するかは置いといて、スラッジを回避できるかどうかはナッジの事例や効果をどのくらい知っているかで変わってくる気がしました。

おわりに

ということで「行動経済学の超基本(後編)」として書いてみました。

今回の記事で引用したのは

  • 意識せずに健康増進させる
  • ナッジは街や施設をきれいにする
  • 長所と短所がある「ナッジ」

の3つでした。

「ナッジ」の事例をいくつも読むと、人間の心理をうまく突いた内容で感心します。

「自分も仕事で人間の心理をうまく突いた仕組みを…」となったりもしますが、そう簡単にはいかないよなぁと。
とはいえ、ヒントをたくさん得ることが出来ました。

前編の記事、改めてもう一度貼っておきます。
こちらも良ければぜひ。

miya-moto-blog.hatenablog.com

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読書感想リンク

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